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- 4年を経て、ドローン迎撃システムがカーナビを混乱させ、ドローンへの警戒から500件超の空港閉鎖が起き、YouTubeとWhatsAppは完全に遮断され、Telegramは速度制限を受けている。
- 経済は2022~24年に予想された年率2%をやや上回って成長した後、2025年には0.6%程度まで急減速し、2%という失業率は人員不足と巨額の国家支出を覆い隠している。
- 500社超が接収され、被告が軍と契約したことで1112件の裁判が中断・取り下げられ、軍の人件費は3兆ルーブルから4兆ルーブル超へ膨らんだ。

ロシアによるウクライナでの戦争開始から4年、多くのロシア人はそれを無視しようとしているが、次第に難しくなっている。モスクワ中心部で、迷彩服の中年男性がウォッカの瓶とビールの缶を入れたビニール袋を持ってバスに乗り込んできた。
体をわずかに揺らし、目はうつろで、2つの容器を交互に口にする。他の乗客を見回し、誰にともなく「防衛を続けている。防衛を続けている」とつぶやく。乗客たちは目をそらす。ロシアのウクライナでの「特別軍事作戦」の当事者とは、目を合わせたくないのだ。
戦争は今週で開始から4年を迎えた。政治的にも経済的にも、差し迫った破綻の兆しはない。しかし、ウラジーミル・プーチン氏の抑圧的な政権をもってしても、戦争が日常生活に及ぼす数々の影響を取り繕うことはできない。
カーナビからエレベーターまで、日常の移動は困難に
国内を移動するだけでも、戦争を思い起こさせる場面は頻繁にある。ウクライナのドローン攻撃を阻止するための防衛システムが、モスクワなど都市部の車のカーナビを混乱させている。この「スプーフィング」により、GPS機器が実際より50キロ離れた場所にいると誤認することもある。運転手は事前にルートを調べたり、紙の地図を使ったり、人に道を尋ねたりしなければならない。
空の旅も悩みの種だ。ドローンへの警戒やその他の軍事上の懸念から、昨年は500件超の空港閉鎖があった。制裁により、旅客便の90%を占めるエアバス製やボーイング製の航空機の部品輸入ができない。昨年は800件の故障が発生し、前年の3倍以上に増えた。一部の航空会社は旧式のロシア製機を改修しているが、これらも故障が多い。
同様の理由で、地上から建物の上階へ移動することさえ難しくなりかねない。エレベーターの多くは外国製で、部品が手に入りにくい。最近、頻発する故障に怒ったモスクワ市民が集合住宅のエレベーター修理業者を問い詰め、手抜き工事ではないかと迫ると、業者らは目に見えない上位者を見上げるようにして「聞く相手を間違えている」と切り返したという。当局が日常的な問題より戦争を優先する限り、抜本的な修理は不可能だという含みだった。
日に日に困難になる通信
数カ月に及ぶ規制の末、YouTubeとWhatsAppは現在完全に遮断された。メッセージアプリで、国が管理しない主要な情報源の一つでもあるTelegramは速度制限を受けており、追従的なロシア下院ドゥーマの議員からも苦情が出ている。
人々は、国が支援する対抗アプリ「Max」の利用へと誘導されている。同アプリはすべての新型スマートフォンやタブレットにプリインストールされ、政府の監視を容易にするとみられている。理論上は多くの欧米サイトへのアクセスは依然可能だが、実際にはインターネットプロバイダーが読み込めるデータを役に立たないほどわずかに制限している。
VPN比較サービスのTop10VPNによると、昨年は地域または全国規模のインターネット遮断が58件あり、平均遮断期間は25日だった(図表1参照)。

持ちこたえた経済、しかし根本的に変質
経済は驚くほど持ちこたえてきた。開戦前の2021年後半、エコノミストらはロシアは2022~24年に年率約2%成長すると見込んでいた。実際には、紛争と厳しい欧米の制裁にもかかわらず、石油輸出の好調と政府の積極財政により、それをやや上回る成長となった。
2025年には成長が急減速し、0.6%程度にとどまったとみられる。それでも失業率は2%と極めて低いままだ。一方、独立系世論調査機関レバダのデータによると、消費者信頼感は過去最高水準近くにある。
しかし、こうした全体の数字は、経済が根本的に変質した事実を覆い隠している。失業率がこれほど低いのは、ロシアの戦争機構が人員を吸い上げ、何十万人ものロシア人が国外に流出したことが大きな理由だ。2023年と24年の成長は、軍事支出だけでなくインフラや福祉への支出など、国家のばらまきに大きく依存していた。
軍需都市は活況、一方で民生ビジネスは停滞
大手武器メーカーのカラシニコフ・グループがあるウラル山脈のイジェフスクなどの都市は活況を呈している。不動産価格は上昇し、新しいレストランが開店している。経済の他の分野は芳しくない。
優秀な人材を抱えるロシアは、米中間のAI競争に加わることを望んでいた。しかし実際には存在感を示せていない。制裁で最先端半導体へのアクセスが制限され、国内屈指の科学者の多くが去った。ロシア最大手銀行ズベルバンクが開発したAIチャットボット「GigaChat」を聞いたことがあるだろうか。
民生経済には不調の兆しが見える。昨年の新規事業登録件数は過去14年で最低となり、2024年を20%も下回った。賃金未払いは過去1年で倍増し22億ルーブル(2900万ドル)に達し、その多くは建設業だ。大手不動産開発会社サモレットは債務返済に苦しみ、政府に救済を求めた。ロシア最大の自動車メーカー、アフトワズは工場を週4日しか稼働させていない。
資金に余裕のある層でさえ経済の激変とは無縁ではない。制裁により、かつて欧州連合(EU)から輸入したり、欧米企業とのロシアの合弁企業が製造したりしていた製品は、中国製の代替品に置き換えられた(図表2参照)。その結果、工場は閉鎖され、消費者の選択肢は減っている。

接収の波が投資を阻む
民間部門の足かせは多く、例えば昨年の大幅な法人増税などがある。ただ、投資への大きな阻害要因となっているのは、戦争の長期化とともに勢いを増す接収の波だ。
始まりは、開戦時にロシアを去った外国企業だった。その資産は速やかに接収・再分配された。例えば、フランスのヨーグルトメーカー、ダノンのロシア事業は、民兵指導者でクレムリンの側近であるラムザン・カディロフ氏の甥に二束三文で売却された。
資産の奪取はすぐにロシア企業にも広がった。直近の例はモスクワのドモジェドボ空港で、かつては50億ドルと評価されていた。当局は所有者からこれを没収し、希望価格の半額となる10億ドル未満で競売にかけ、プーチン氏の側近の一人アルカディ・ローテンベルク氏と関係のあるシェレメーチエヴォ空港の子会社に売却した。
さらに不運なのは、ロシア有数の富豪で、守銭奴たちにとって魅力的な標的である農業複合企業ルサグロの所有者ワディム・モシュコビッチ氏だ。ロシアの裁判所命令により、同氏は同社の登記地をキプロスからロシアに戻すことを強いられた。昨年、同氏は詐欺罪で収監された。同社には、元情報機関長官でプーチン氏の側近であるニコライ・パトルシェフ氏の息子で農相のドミトリー・パトルシェフ氏が率いる組織が目をつけている。
「明日には取り上げられるのに、なぜ投資して拡大などするのか」
ある起業家
2010年代、ロシアの検察が起こした接収請求は年1件以下だった。開戦以来、500社超が接収され、その大半はロシア資本だった。ホテルやショッピングセンター、パスタ工場、蒸留所などが含まれる。
1年前、イーゴリ・クラスノフ検事総長はプーチン氏に対し、「国家の利益のために」2兆4000億ルーブルを回収したと誇った。数カ月後、クラスノフ氏はロシア最高裁判所長官に任命された。
法、教会、そして逼迫する兵員募集
戦争はさまざまな形で法制度をゆがめた。軍に入隊した者は、過去の罪の如何にかかわらず、常習的に罪を免れている。オンライン報道機関ベルストカの集計では、殺人や強姦の起訴を含め、被告が軍と契約したために中断または取り下げられた裁判が1112件に上る。
新規入隊者向けの標準的な優遇策の一環として、プーチン氏は兵士に対し、窃盗や暴行など比較的重い犯罪についても服役中の訴追免除を認めた。
帰還後も暴力を振るい続ける兵士もいる。ベルストカによると、過去4年間に戦争参加者によって殺傷された人は約1000人に上る。殺人の半数は刑務所から軍に採用された元受刑者によるものだった。こうした加害者は通常は裁判にかけられ刑務所に戻されるが、寛大な判決を受けることが多い。
ウラル地方のエカテリンブルク近郊の人口6万人の町レブダでは、150人超の男性が戦争で死亡した。昨年、9歳と7歳の姉妹がスーパーの前で車にはねられ死亡した。滑りやすい道路で車がスリップして店に突っ込んだのだ。運転していたのは前線から帰還したばかりの37歳の伍長で、酒と薬物で酔っていた。過去に3度免許を取り消されていたが、戦争参加を理由に処分はいずれも無効になっていた。
ロシア正教会はウクライナ侵攻を聖戦と宣言し、殺戮を聖別してもいる。同教会は数千人の司祭を前線に送り、兵士の士気を高め、場合によっては自ら戦わせた。少なくとも300人の司祭が国防省と契約し、退役軍人と同様の特権を受けているとみられる。
開戦当初から、総主教キリル氏は、この戦争で命をささげれば悔い改めない者でさえ全ての罪が洗い流されると約束してきた。一方、「殺すなかれ」と書かれた看板を掲げた反戦デモ参加者は「ロシア軍の信用失墜」を理由に拘束され罰金を科された。勝利ではなく平和を祈ったために聖職を剥奪されロシアを去った教区司祭アレクセイ・ウミンスキー氏はメディアに「総主教は戦争での殺人の責任を取り除いた」と語った。
教会の熱狂にもかかわらず、新規兵士の確保はますます難しくなっている。多くは地方の辺境の小都市や村出身の30代後半から40代の男性で、技能も見通しも乏しい。「彼らは特別軍事作戦を、社会的に先を行く同胞に生活水準で追いつく手段とみなした」とサマラ出身の社会学者ウラジーミル・ズボノフスキー氏は説明する。
2024年には国内の一部地域で契約一時金が250万ルーブルに達し(各地域は多数の新兵を提供してプーチン氏の歓心を買おうと競った)、住宅ローンの頭金に充てることができた。月給20万ルーブルは彼らの平均給与の5倍だった。家族ぐるみで下されることも多い、合理的な選択に思えた。
兵士にとって高まるリスク、減る見返り
しかし、この計算はますます割に合わなく見えてきている。一つには、多くの兵士が1年契約を結んだつもりが、プーチン氏が戦争終結まで契約を延長する権限を軍に与える大統領令を承認していたことを知らなかったという。また、最前線で戦うことになるとは思っていなかった。
一方、収入は期待ほど恵まれたものではなかった。長年の高インフレに加え、生き延びるには最も危険な作戦を避けるために将校に多額の賄賂を払うことが多いためだ。運よく帰還できても、プロパガンダが約束したような歓迎ではなく、敬遠される。「だまされた」というのがよく聞かれる嘆きだ。
新規入隊者の家族の間でも不満が高まっている。ある女性は言う。「あちらで私たちの男たちが殺されている一方、こちらでは搾り取られている。毎日、新たな罰金や禁止、税金、財産権を無効にする法律が出てくる。物価は上がり続ける。私たちは前線への人道支援を集めているのに、当局者はパーティーに興じている」。
ロシア軍将官の明らかな無能さも助けにならない。「まともな軍隊を持つ国なら1カ月か3カ月で終わらせていたはずで、3年半も引き延ばしたりしない。彼[プーチン氏]は全てを完全にめちゃくちゃにした」。
結果として、巨額の支出にもかかわらず兵員不足に陥っている。ウィーンに本部を置く分析家ネットワーク「Re:Russia」によると、軍の人件費は2024年の3兆ルーブルから2025年には4兆ルーブル超へ増加し、GDPの約2%に相当する。その約40%は戦死への支払いだ。それでも、1日約1000人とみられるロシア側の死傷者は、軍の受け入れ数を上回っている可能性がある。

秘密主義、労働力不足、出生数の減少
政府が人口統計データを極度に秘密にするようになったため、死者数や労働市場を正確に把握するのは難しい。これは隠そうとする暗い知らせがある確かな兆候だ。2024年、プーチン氏は政府の公式人口調査を2029年まで停止した。この情報遮断に警鐘を鳴らした人口学者アレクセイ・ラクシャ氏は「外国の代理人」に指定された。
おそらく、多くのロシア人男性がウクライナで死亡し、兵役逃れで国外に逃れたことで、数十年続く労働力の縮小がさらに進んだ。いずれにせよ、政府はロシアの労働力不足を和らげるため外国人労働者を募集している。
タジキスタンなど旧ソ連諸国からの既存の移民労働者を多数ウクライナでの戦闘に駆り立てたことで、政府はこの課題を自ら難しくした。2024年にタジキスタン人のテロリストがモスクワのショッピングセンターを襲撃し、その後移民への嫌がらせが起きたことで、ロシア近隣諸国からの流入はさらに細った。その代わり、当局はキューバやインド、北朝鮮、スリランカから労働力を輸入している。昨年は外国人に24万件の労働許可を発給した。
戦争はロシアの出生率低下も加速させている可能性が高い。プーチン氏がデータ公表を停止する前の2023年、合計特殊出生率(女性が生涯に産む子どもの数の平均)は1.3まで低下し、2006年以来の最低水準となった。同年にロシアの高等経済学院が行った調査によると、ロシア人の3分の1近くがウクライナでの戦争と経済状況の悪化を理由に、出産計画の延期または完全な断念を決めた。
出生率を支えるため、ドゥーマは2024年に子を持たないライフスタイルの宣伝を禁止した。プーチン氏の出生増の呼びかけに応えようと躍起になったある地方知事は、学齢期の女子が妊娠したら金を支給すると提案した。複数の地域では民間クリニックでの中絶を制限している。
ロシアの主要SNSであるVK上の学校後援の公開フォーラムは、「新しい人生を始めたい?とにかく赤ちゃんを産もう!」「学生時代は生殖の窓」といった出生促進スローガンであふれている。ロシア正教会が戦争を祝福したのと同様に、その司祭たちは官僚とともに中絶を非難し妊娠を推奨するよう命じられている。
早期終結への希望薄れ、深まる陰鬱
普通のロシア人はこの猛攻をただ受けているわけではない。例えば多くの人がデジタル検閲を逃れるためにVPNをダウンロードした。しかし気分は沈んでいる。世論調査によると、約60%が今年は昨年より厳しくなると予想している。
ロシアの公式統計によると、不安症とうつ病の診断件数は2020年から2024年に21%増加した。1月の抗うつ薬の処方は前年同月比18%増だった。
昨年、多くのロシア人はドナルド・トランプ氏の大統領復帰が戦争の早期終結をもたらすと期待していた。戦争が止んだら何をするか人々は考え始めた、とコラムニストのエレーナ・パンフィロワ氏は言う。彼女が寄稿するのは ノーバヤ・ガゼータ、度重なる嫌がらせを受けているオンラインメディアだ。その楽観論は薄れた。「全てが凍結し、爆撃と銃撃、駆け引きと嘘、規制と弾圧からなる灰色の粘り気のあるペーストになった」。
別の女性はこう表現する。「琥珀に閉じ込められた虫のような気分。外では人生が続いているのに、自分の時間だけが凍結している」。
「人々は今、たとえ戦争が止んでも戦前の状態には戻らず、むしろ悪化するのではないかと気づき、心配している」とズボノフスキー氏は言う。いずれにせよ、戦争機構が停止すれば、労働力と資本の大規模な再配分が引き起こす激動は苛烈なものになるだろう。
世論調査では、圧倒的多数のロシア人が戦争終結を望んでいることが一貫して示されている。12月には過半数がレバダに対し、戦況にはほとんどあるいは全く関心がないと答えた。モスクワのバスの乗客のように、彼らは迷彩服の男たちについて考えないようにしているのだ。
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