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- 康保県のトラック運転手が鮮度保持のために白菜をホルムアルデヒドに漬けていた。3人が拘束され、同県から出る白菜を検査する検問所が設置された。
- 1億6000万人の独立農家と数十万の流通業者からなる分散した食品産業に、分断された規制が対応している。
- 厨房のライブ配信からブロックチェーン、既存の1000カ所に計画中の500カ所を加えたコールドチェーン拠点まで、技術は多くの買い手には手が届かないコストを上乗せする。
中国の食品安全危機は、新たな象徴を見つけた。白菜だ。8月22日、北京から車で数時間の康保県で、白菜をホルムアルデヒドに漬けるトラック運転手の動画をブロガーが投稿した。

ホルムアルデヒド漬け白菜が最新スキャンダルの火種に
この薬品を使うと、夏の暑さの中を運ばれる間も、淡い緑の葉が新鮮に見える。しかしホルムアルデヒドには発がん性がある。国民的な怒りの中、当局は同県から出る白菜を検査する検問所を設置した。これまでに3人が刑事事件として拘束された。シンガポールと韓国も中国産白菜の輸入検査を強化している。
国営メディアはトラック運転手らを「道徳の最低ラインを踏み外した」と激しく非難した。しかし多くの中国人は、あきれた様子で驚きも見せない。康保県のある農業労働者は、この問題を以前から知っていたと認めた。ホルムアルデヒドの不正使用に関する報告は、少なくとも2012年までさかのぼる。
ホルムアルデヒドは、今なお国内の食品に混入する有害物質の一つにすぎない。先週、飲食店で禁止された農薬を使用したとして清掃会社が調査対象となった。ヤマモモの販売業者が、鮮度保持のために別の禁止薬品に商品を漬けていたことが最近発覚した。
なぜ食品安全は今も中国を怒らせるのか
食品安全スキャンダルほど中国の国民を怒らせるものは少ない。2008年に汚染粉ミルクで約30万人の子どもが体調を崩し、6人が死亡した事件の記憶に、今も多くの人が苛まれている。2013年、中国の指導者である習近平国家主席は、この問題を共産党の正統性に結び付けた。「我が党が食品安全さえ確保できないなら、人民は我々に統治する資格があるのか疑問を持ち始めるだろう」と同氏は述べた。
それでもスキャンダルは続いている。そして中国がより強大で洗練された国になるにつれ、この問題は一層恥ずべきものになっている。人々は最先端の国産ロボットや電気自動車、スマートフォンを買えるのに、自国の食品をいまだに信頼できないのだ。
法整備と農薬対策の進展もリスクをなくせず
一定の進展はあった。中国は2009年に制定した包括的な食品安全法を強化した。現行の規制は欧州のものと比べてそれほど遜色はない。一方、処罰ははるかに厳しいこともある。粉ミルク事件に関与した2人は死刑に処された。
農薬の分野でも中国は進展を見せている。調査会社トリビアム・チャイナのイーブン・ペイ氏が指摘するように、研修や作物検査、最も毒性の高い物質の禁止により、農家は農薬の使用量を減らしている。それは食卓に上る有害残留物の減少を意味する。中国南西部の四川省を対象としたある研究では、2010年から2020年にかけて単位面積当たりの農薬使用量が3分の1減少したことが分かった。
分散した農家・市場・規制が隙を生む
それでも課題の規模は依然として手ごわい。食品安全の確保はどこでも難しい。今夏、アメリカはレタスを介して広がる厄介な寄生虫の集団感染に対処している。中国では食品産業の細分化が、その困難をさらに大きくしている。
少数の大手農業企業が、1億6000万人の独立農家とひしめき合っている。彼らの大半は国内の貧しい地域の小さな土地で細々と生計を立てている。さらに、穀物や果物、野菜を農場から都市へ運ぶ数十万の企業がある。多くの中国人は大手スーパーチェーンではなく、小さな近所の市場で食料品を買う。小さな大衆食堂で外食する人も多い。そのすべてが、薄利ゆえに手抜きに走りがちな悪質業者につけ入る余地をたっぷりと生んでいる。
規制当局も、管轄する業界と同様に分散している。隙間に物事が落ちてしまうことがある。2024年には、食用油が洗浄されないまま燃料にも使われるタンクでトラックや船で輸送されていたことが明るみに出た。こうした悪質な行為を止めるのは中国の市場監督当局の責任だったかもしれない。しかし運輸省や、石油のような戦略資源の管理を担う部署の義務だった可能性もある。結局、すべてが機能しなかった。この問題を発見したのは国営メディアの調査だった。
技術で薬品なしに鮮度を保てるか
中国は技術に期待を寄せている。単純な対策もある。多くの中国の飲食店は今や厨房をライブ配信し、客が調理の様子を見られるようにしている。より高度なものもある。一部の大企業は製品の追跡にブロックチェーンという安全な共有データベースの一種を利用している。
中国は「コールドチェーン」の整備も進めている。果物や野菜を輸送中に、例えばホルムアルデヒドなどを使わずに新鮮に保つ冷蔵トラックと倉庫のネットワークだ。最近の政府計画では、既存の1000カ所に加え、今後5年間でさらに500カ所のコールドチェーン物流センターを整備することが求められた。
ただ、こうした取り組みはいずれもコストを押し上げる。裕福な中国人は喜んでお金を出すようだ。米小売大手ウォルマート傘下の会員制スーパー、サムズクラブは、安全な食品の供給をうたって中国で急速に拡大した。中国IT大手アリババが設立した国産の対抗馬、フーマー(盒馬)は、一部商品のバーコードを消費者がスキャンすると化学検査証明書や輸送記録が見られる仕組みを提供している。しかし誰もが食料品により多くのお金を払えるわけではない。
安い食品、地元の雇用、弱い執行
手ごろな安さと確かな安全性を両立した食品を実現するために、中国は根深い問題に対処しなければならない。一つは企業文化だ。中国企業は市場投入の速さを誇ることが多い。しかしそれは仕入れ先の審査やその他の安全対策を急ぐことにもつながりかねない。問題を経営陣に報告する社内チャネルは未発達なことが多い。政府は代わりに従業員が当局に通報するよう促している。2024年には食品業界の内部告発者への報奨を拡大し、重大事案では科された罰金の最大5%を支払うと発表した。
しかし当局者のインセンティブもゆがんでいると、中国のある食品安全専門家は警告する。昇進のためには、末端の当局者は地元産業を育て、地元の雇用を守らなければならない。食品の取り締まりに過度に力を入れれば、どちらの目標も危うくなりかねない。「誰もが安全と経済成長の間で暗黙のバランスを保っている」と同氏は言う。大きなスキャンダルが起きると通常は上級政府による調査につながり、必ず地元のスケープゴートが見つけ出されて処罰される。こうした事情を踏まえ、地元の当局者は問題を自ら処理するか、可能なら見過ごすことを好む場合が多い。
1人当たりGDPが北京の約3分の1である康保県では、農業が経済の大きな部分を占めている。地元の当局者はおそらくスキャンダルの余波に身構えている。彼らがメディアを厳しく監視しているのは確かだ。本誌の特派員が同県に到着して間もなく、パトカーで4人の警察官が現れ、続いて宣伝部の関係者の一団がやってきた。彼らは好天や近隣で繁殖する希少種の鳥について熱心に語った。しかし白菜に関する質問には答えようとしなかった。
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