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要点

  • 人民元は過小評価されているものの、為替レートは世界的不均衡の原因ではなく、国内の貯蓄・支出政策がもたらした症状だと著者らは主張する。
  • 政策変更を伴わない大幅な名目切り上げは輸出への効果は限定的で、中国のデフレを悪化させ、貿易不均衡の是正にはつながらない。
  • 持続的な調整には中国による消費拡大と米国による財政赤字の抑制が必要であり、人民元の実質的な上昇はその結果として続く。

中国に人民元の切り上げを求めることは、世界的不均衡の診断も処方箋も間違っている、とギータ・ゴピナート、ピエール=オリビエ・グーランシャ、エレーヌ・レイの3氏は記す。

ギータ・ゴピナート、ピエール=オリビエ・グーランシャ、エレーヌ・レイ 著

ギータ・ゴピナート、ピエール=オリビエ・グーランシャ、エレーヌ・レイを描いたイラスト
イラスト:ダン・ウィリアムズ

国際経済外交には、心地よい慣例がある。世界的不均衡が不安材料として浮上するたびに――今日まさにそうであるように――議論は為替レートへと向かう。

中国は巨額で拡大を続ける対外黒字を計上している。米国は巨額で拡大を続ける対外赤字を抱えている。どちらもIMFによって過剰と評価されている。どこか豪華なホテルに政策担当者が集まり、人民元高・ドル安で合意さえすれば、中国は輸入を増やして輸出を減らし、米国はその逆を行い、黒字と赤字に偏った世界の構図は穏やかに修正される――そうした議論である。最近では、この見方が欧米で支持を集めている。

過小評価された人民元は原因ではなく症状だ

はっきりさせておくと、中国人民元が過小評価されていることは間違いない。しかし、調整の手段として為替レートを重視するのは見当違いだ。本記事の著者らも関与し、今年公表されたG7専門家報告書と世界的不均衡に関するIMF政策ペーパーでは、為替レートは犯人ではなく結果として扱われている――すなわち、特定の国内政策の組み合わせがもたらす、望ましくないが予測可能な帰結である。

家計消費を抑制しながら、同時に不動産投資の崩壊に直面している国は、持続的な経常黒字を計上し、他の条件が等しければ通貨安になる。民間貯蓄が不足し、持続不可能なほど巨額の財政赤字を抱える国は、持続的な経常赤字を計上し、他の条件が等しければ他通貨に対して実質為替レートが高くなる。通貨のミスアライメントが生じるのは、根底にある政策の組み合わせが過剰または過少な貯蓄を生むからだ。為替レートは症状であって、病気そのものではない。

中国の為替レートは人民元安に保つための為替介入政策を反映していると主張する向きもある。確かに人民元は自由に変動しているわけではなく、資本規制と消費抑制、外為介入を組み合わせれば、持続的な経常黒字と実質為替レート安の両方を作り出すことは可能だ。しかし近年の中国の通貨介入はむしろ通貨安を防ぐためのものであることが多く、人民元はどちらかといえば安定してきた。中国の実質為替レートの最近の減価は、主として貿易相手国と比べて中国のインフレが弱かったことによるものだ。

強制的な切り上げでは貿易はリバランスできない理由

通貨を反射的に重視することには二つの深刻な欠点があり、互いに事態を悪化させる。第一は経済面だ。仮に中国が明日、根底にあるマクロ経済政策の変更を伴わずに、命令によって大幅な切り上げを行ったとしよう。必要な世界的調整は続くだろうか。十中八九、そうはならないだろう。短期的には、中国の輸出価格の大半はドル建てで設定され、調整が遅いため、名目上の増価が中国の輸出に与える影響は限られる。

一方、貸借の反対側では、輸入の人民元建て価格は直ちに下がる。他の条件が等しければ、これは中国の輸入を増やし、貿易黒字を減らす可能性がある。しかし他の条件は等しくない。元高は中国のデフレ問題をさらに悪化させ、総需要を減らすからだ。これはリバランスに必要なこと――すなわち中国が世界が生み出すものをより多く吸収すること――とは正反対である。

同じく重要なのは、経済のリバランスのためのマクロ経済政策の変更に裏打ちされない名目増価は、デフレ圧力によって急速に実質減価へと転じる可能性が高いことだ。これが中国に経済の再インフレ化を促すことになると主張する向きもある。しかし最終目標が中国により良い政策を追求させることにあるのなら、なぜそれを直接議論しないのか。なぜ要請を為替レート経由にするのか。

通貨要求が対立を招く理由

第二の欠点は政治面だ。名目切り上げを見出しとなる譲歩として要求することは、実際には受け入れられる可能性が極めて低い。歴史は心強い材料を示していない。しばしば信じられていることとは逆に、1985年のプラザ合意の成功は、日本の協力と、米国の財政スタンスを含む大幅なマクロ経済調整に支えられてドル安を実現したことによるものだった。今日の中国は、社会保障のセーフティーネットや年金制度、非貿易財のサービス部門の強化をめぐる対話には応じやすいかもしれない。成長を支える改革を促せば、成功の見込みはある。為替レート調整を迫れば、対立を求めることになる。

中国と米国が代わりにすべきこと

だからといって中国が免責されるわけではない。中国の黒字は現実のもので巨額であり、最後の吸収役を務めることのできない欧州経済を含め、世界の他の国々にとって正当な懸念である。中国がすべきこと――高齢化と貿易財部門に過度に依存した投資モデルを考えれば、中国自身の長期的な利益にもなること――は、GDPに占める家計所得の割合を引き上げ、家計が安心して支出できるよう社会保険を拡充し、消費を犠牲にした貿易財部門の拡張への資金供給をやめることだ。そうすれば、人民元の実質的な上昇が続く。

しかし必要な調整は中国側だけではないこともはっきりさせておこう。米国も、持続不可能な財政政策と、持続的に低い民間貯蓄に対処する必要がある。それも為替レートの小細工では対処できない。

G7とIMFは問題の所在を正しく捉えている。問題は、不均衡の両側にある国内マクロ経済の選択の組み合わせにある。中国が消費とサービス主導の成長へ転換し、米国が財政赤字を抑制するという政策パッケージは、壮大な通貨合意ほど派手ではない。しかし効果的で実現可能という利点がある。

ギータ・ゴピナートは2019年から2022年まで、ピエール=オリビエ・グーランシャは2022年から2026年までIMFのチーフエコノミストを務めた。エレーヌ・レイはロンドン・ビジネス・スクールの教授。

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